さまよえる脳髄/逢坂剛


先日のお泊りした知人宅で咳で眠れずに本棚を見ていたら、発見。

これは、おもしろい!
いくつかの猟奇殺人事件が、うまい具合に女医によってひとつにつながるストーリー展開は、ミステリーとして傑作だ。
脳外科や大脳生理学の内容も、丁寧に調べたんだろうなぁと感じる。ただキワモノとして取り上げていない感じが素敵。
それだけ丁寧に描いているにもかかわらず、社会心理学の実験のくだりはかなり乱暴な描き方をしている。心神耗弱として措置入院になった殺人犯の退院後の説明も間違っている。が、まぁ、この程度ならいたしかたあるまい。
あとがきまで読む人はどのくらいいるかわからないが、私が読んだ文庫本では福島章先生があとがきを書いていて、あのシーンは現実ではありえないとちゃんと断言してくれている。

調べてみると高島礼子で映画化されたようだが興味ないなぁ。映画は観ないほうがよさそう。この内容は映像化するのは難しいよ。