連鎖/真保裕一

連鎖 (講談社文庫)
雪印乳業も、浅田農産も起こっている今としては、あまりに笑うに笑えないミステリー。「ウォーショースキーシリーズ」の主人公が男性になって舞台が日本になった、という感じ。
ホワイトアウトも裏づけ調査がすごいなぁとは思ったけど、どこかで「まぁ、ここまでのことは起こらないし」とフィクションなりの楽しみ方をしていたんだなぁ、ってつくづく思った。
これは笑えない。


ネタばらしになってしまうが、食品衛生だけでなく、税関とか麻薬のあたりも自分が少し知っているだけに、笑えない。
友達に東京税関の麻薬捜査に関わる人がいたり。
友人の友人が、大手運輸会社勤務で某靴メーカーの海運コンテナから密輸される大麻を使用していたり。
まさにこの小説どおりだったりもするから、怖い。


食べ物の大半を輸入している日本としては、遺伝子組み換えだとか話題になるけど、消費者の私たちの判断は全体を見渡した考え方でないとダメだな、1コマ1コマの情報だけで踊らされてはいけないな、と改めて思った。
でも、私たち消費者がその全体像を見るための知識はどうやって?


これ以上のネタばらしはやめましょう。
なんで「連鎖」なのかは、最後の最後でガツンとさせられた。一見その連鎖だと思わせられるけど…あぁ、これ以上言えない。


[ちなみにウォーショースキーシリーズはこんなものが]

レディ・ハートブレイク (ハヤカワ・ミステリ文庫)

レディ・ハートブレイク (ハヤカワ・ミステリ文庫)

シリーズはいろいろありますが、題材は社会問題とか。この話ではアメリカの保険制度を知ることもできて話には聞く医療の貧富格差を実感したりします。(たしか。読んだのが昔過ぎてどのタイトルがどの話だかうろ覚え)


税関の友達ができてはじめて税関と検疫の違いをしっかり認識したり、税関にもいろんな仕事があると知った。
さらにまたまた偶然その後保健所の検疫の人と知り合ったりしたので、国内の食品衛生検査についても視点が向くようになって、自分の身近だけどすぐ目に見えない仕事ってあるもんだなぁ、と思ったものだ。
それが公務員だったりもしたから、意外だったっけ。
麻薬捜査だとか仕事を聞いてると、全然公務員らしくないしね、給料はよかったみたいだけど。